ソーシャルグッドマーケティング

室谷良平。デジタルマーケター。ソーシャルベンチャーで働きながら、北海道長万部町のローカルメディア「リマンベ」代表・編集長として活動。インターネット、マーケティング、まちづくりがライフワークです。

「ソーシャルグラフ」を知ることで、地域の情報発信の効率性は高められる

このSNS時代に、どのように地域は情報発信していけばいいのでしょうか。

 

「バズ」「6次のつながり」「コネクタ」「ハブ」「インフルエンサー」などの言葉を聞くようになるかと思いますが、本稿で紹介するソーシャルグラフという概念を知ることで、頭の中で整理して覚えることができると思います。

社会の構造として理解を深めることができ、施策の再現性を高められる概念だと思います。

ソーシャルグラフとは

ソーシャルグラフとは、ざっくり言うと、「誰と誰がつながっているかの人間関係をあらわした相関図」だと理解いただければよいと思います。

ネットで検索すると、

ウェブ上における人間の相関関係、またはその結びつきの情報のこと。 http://smmlab.jp/?p=17255
ソーシャルグラフは、インターネットやWeb上でのユーザー同士のつながりや結びつき、相関関係を意味しています。 https://blog.kairosmarketing.net/socialmedia/social-graph-140411/

ソーシャルグラフの理解を深めるおすすめの3冊

『ウェブはグループで進化する』

著者はGoogle+の開発に携わった方です。図解が多く、初めて読む人でもわかりやすい内容だと思います。人間関係の緊密さの度合いを「強い絆」「弱い絆」といったキーワードで表現するなど、ソーシャルグラフを理解するうえで重要な概念が次々と登場しますが、前述のとおり図解が多く、初めて読む人でもわかりやすい内容です。

入門用として優れた一冊です。

 

『つながり 社会的ネットワークの驚くべき力』

『ウェブはグループで進化する』はSNSを中心に説明がなされていますが、こちらは禁煙や肥満、さらには肉体関係といったドキッとする切り口から社会のネットワークの構造を紐解く一冊です。著者は米タイム誌による2009年の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれたニコラス・クリスタキス教授。行政関係者におすすめだと思います。

 

『新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く』

 Amazonの「内容紹介」にあるとおり、

「すべてはリンクしている」――ネットワークという視点で捉えなおすと、インターネットの弱点、エイズの急速な広がり、マイクロソフトのひとり勝ち、アルカイダの組織など、すべてを説明するルールがあったのである。)

『つながり 社会的ネットワークの驚くべき力』と近い内容ではありますが、こちらはややウェブ寄り(インターネットのネットワーク)の内容です。

 

この本でとくに面白かったのが、ウェブの大陸の図です。リンクにはナビゲートする向きをもつ特徴があることで、逆方向には必ずしも戻らないことでネットワークが分裂してしまうということがある、ということをリンクでつながれた大陸のアナロジーで説明しています。

 

SNS時代の効果的な情報発信は、効果的な情報伝搬である

全戸配布されている自治体広報誌の場合は、伝搬については考える必要はなかったのですが、情報発信の手段がひろがり、SNSの力が大きくなってきている現代では、情報の伝搬を強く意識する必要があります。

 

リソースが限られる地方においては、情報発信は協力者を増やす意味でも重要です。

在住者のみならず、出身者ともつながりを形成することで力になってくれる人を増やせるため、この「ソーシャルグラフ」の概念は地域おこしにおいて大切であると思っています。

 

 

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ヒットにつなげるクチコミの作り方

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 マーケティングという仕事を生業としているため、「口コミ(バズ)」の事例や構造はいつも気になる存在です。

 

バズについて調べているなかで、「ブランド再生のプロ」とも呼ばれている高級腕時計HUBLOT(ウブロ)の元代表取締役の高倉豊さん、そして某動画サイトの人と思われるかわんごさんで共通の思考があることに気づきました。

 

とても面白いもので、且つ、口コミの構造の理解も捗ると思いますので、紹介したいと思います。それぞれの説明は異なりますが、本質は共通していました。

高級腕時計HUBLOT(ウブロ)の元代表取締役の高倉豊さん


高倉 自分では、コップで例えると、一番わかり易いと思って書きました。コップというのは、ビジネスで言うところ、マーケットですね。年齢や性別、使う用途など様々な切り口で、商品を売るわけですけれど、資金が潤沢にない限り、すべての対象を満足させる、商品づくりや売り方は出来ません。なので、どこかのコップを一つだけ選んで、そこに集中して、水を溢れさせる。つまり、マーケットを限定して、その客層が満足できるものを提供して、そのマーケットの圧倒的なシェアをとることなんですね。そういう小さいところでのブレイクを作ることが後々「評判」となって、他のマーケットに対しても効果をあたえます。だから、まずは小さいところでもいいから、どこかでブレイクをさせてティッピングポイントを越えましょう、ということです。

 

www.akiradrive.com

 

ということで、マーケット内のとあるセグメントを「コップ」に例えて、そこに水を溢れされることで口コミが発生していくと説明をしています。

上記サイト中の図解が、視覚的にも理解を促進させてくれています。

 

続いて、かわんごさんの説明です。

 

かわんごさん


基本的にヒットは相転移現象だから、ターゲットとなるユーザクラスタのほぼ100%に認知が広がると、極端に口コミが加速をはじめる。たとえユーザクラスタを限定しても本当に100%近くまで認知を広げることはとても難しいので、ユーザクラスタの限定方法がノウハウになる。まあ、でも、ネットユーザで特定ジャンルのホットエントリをほぼ毎日チェックしているアクティブユーザぐらいにまでクラスタを絞り込めば、100%近い認知もかなり現実的に狙えるはずだ。重要なのはどんなにクラスタを小さく限定していってもかまわないが、どこかのクラスタで認知度が100%近くにならないと、口コミの爆発はまずおこらない、ということと内部で情報交換されているクラスタを選ばないと単純にユーザを分類しただけになってしまうので口コミの媒体としては意味がないということだ。

 

 

高倉さんの「コップ」の例えとは異なり、「ユーザクラスタ」と呼んでおり、社会学的にメカニズムを説明しています。


とくにかわんごさんの説明で面白かったのは、つながりをもつ人間関係のクラスタを「口コミの媒体」と呼んでいる点です。

 

両者の共通点

両者に共通しているのは、


・口コミを起こしたい一つ目のターゲットセグメントを特定すること
ターゲットセグメントはどれだけ小さくても構わない
・ただし、そのターゲットセグメントの臨界点を超えるまで施策展開すること

という点で、そうすればブレイクすると説明していました。

 

とくに重要なのは、「臨界点を超えること」だと思います。

ターゲットセグメントの特定については、限られたリソースでもきちんと臨界点を超えられるようなクラスターを選ぶことが大切になります。


もちろん、ユーザーが思わず口コミしたくなるような優秀なネタ(商品・サービスやブランド体験)も大切ですね。

 

先駆者の共通点は真理や本質にたどり着きやすい

生存者バイアスに気をつける必要もありますが、仕事も学問もその領域の先駆者から学ぶのは効率的でありますし、さらに複数の先駆者の共通点を探ることは効率的なインプットにつながると感じた例なのでした。


いろいろな業界、いろいろな世代から学ぶと、共通点が発見できて面白いです。

 

*  *  *

 

■室谷の地域活性・まちづくりの取り組み

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インターネット時代の新しい地域活性のあり方を考える、北海道長万部町のローカルメディア『リマンベ(http://www.remanbe.jp/)』を運営しています。

 

 

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社会貢献するときは「ちょっと悪いことしてるな」と思うくらいがちょうどいい

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ちょっと枕詞の選び方が難しいところなのですが、真面目に真面目をしすぎている社会貢献の取り組みを見ると、なんだか変な気持ちになることがあります。

このようなソーシャルグッドな分野の取り組みのなかには、人道支援といった非常に繊細な内容を扱うこともあるため、堅さが生まれてしまいます。

だからといって、大衆ウケを狙ってエンターテイメント性が行き過ぎてしまうと、今度は「不謹慎」だと受け止められ、せっかくの社会貢献の取り組みもマイナスのプロモーションになりかねず、目的である行動変容につながりません。

正論は、理解はできるが、行動は変えられない

 

また、真面目な表現やコミュニケーションの堅さは、当人にはそんなつもりはなくても、受け手に「正論」を振りかざすことにもつながる可能性があります。

人は正論を振りかざされると、返す言葉もなく、それは押し付けのようにも受け止めてしまいます。正論で一時的には動くことはあっても、心からの行動変容ではないため持続性はなく、せっかくの取り組みも解決へ結びつくまでの成果は得られないかもしれません。

ということもあり、真面目に真面目をしすぎているソーシャルグッドな取り組みを見ると、「なんだか真面目すぎていて、響かないし刺さらないんだよなぁ」と思うことがあるのです。

受け容れられるために必要な考え方

 

どうやったらもっとうまくできるようになるのかとたまに考えてみるのですが、いまいち言語化しきれず、もやもやしていました。

が、思想家の吉本隆明さんがバシッと言語化してくださっていました。(よしもとばななさんのお父さんと説明すれば分かる方も多いと思います)

それは、

「善いことをしている時は、悪いことをしていると思った方がいい

です。

▼詳しくはこちらから

www.1101.com

 

上記のほぼ日の記事中の

「だいたい、いいことしている時とか、いいことを言ってる時っていうのは、だいたい図に乗ることが多いわけです。」

や、

「善行、悪行っていうのが、いい行い、悪い行いっていうのが、自分の心のなかにあるだけの時にはいいのですけれど、それが、いわば、行為としてあらわれる時には、いいことしているのを見ても、不愉快な場合っていうのはたくさんあるわけです。つまり、不愉快だなぁ、あいつがいいことしてるの不愉快だなぁって思う時も、みなさんもおありでしょうけど、ぼくもあります。
 たとえば、電車のなかでお年寄りに席を譲って、それはいってみれば、それだけとってくれば、いい行いなんだけれど、それは人によりまして、なんかおもしろくないなぁっていう譲り方をする人もいますし、照れくさそうにして譲っている人もいます。少なくとも照れくさそうに譲っている時には、悪い気持ちしないなぁっていうふうに思うけれども、なんか、なんとなく、いいことをしているみたいに譲ってると、おもしろくないなぁって思うことがあるでしょう。」

は、なるほどなと思いました。

 

また、

いいことばっかり言うやつと、いいことばっかりやるやつと、身辺に満ちてくると、そうすると、なんじゃこりゃって、なんか息苦しくなるってことがあるでしょう。

という「善悪の問題は息苦しい」という指摘は常に頭に入れておきたいなと思いました。問題解決に対して熱があればあるほど忘れてしまいがちですから。

 

▼こちらのほぼ日の記事もあわせて読むと理解が深まります。

ほぼ日刊イトイ新聞 - postman@1101.comから。

 

企画は企むものだから

 

このように「善いことをしていると自分が思っているときには、だいたい悪いことをしていると思うとちょうどいい」と考えることで、正論を押し付けない企画を検討できる一歩が踏めるようになると思います。

さらに、前述の善悪の問題の息苦しさの指摘は、「施策にチャーミングさがあるか」の視点があれば解決できると考えています。チャーミングさが受け手が受け容れてくれる余地を生み出し、真の「受け手ファースト」のマーケティングコミュニケーションの施策立案にもつながるのだと思います。

何事も真面目に、且つチャーミングに解決していきたいです。

 

 

*  *  *

 

室谷の地域活性・まちづくりの取り組み

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