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ソーシャルグッドマーケティング

室谷良平。ベンチャーのマーケター。本業の傍らで地元・北海道長万部町の活性化のためのデジタルメディア「リマンベ」を運営。インターネット、マーケティング、まちづくりがライフーワークです。

メディアは地域を救えるか。人口5,600人の長万部のローカルメディア「リマンベ」の挑戦

私は東京に住みながら、本業の傍らで、遠く離れた地元・北海道長万部町の活性化のために、「リマンベ」というウェブ主体のローカルメディアを運営しています。

 

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リマンベ:http://www.remanbe.jp/

 

▼参考:長万部の位置

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長万部町は札幌と函館の中間に位置する道南の町です。人口は5,600人ほどの町で、「まんべくん」や「由利徹」で知られ、名物の「かにめし」などが有名です。 

 

▼参考:長万部ゆるキャラまんべくん」 

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「リマンベ」では、長万部出身者のインタビュー記事や、長万部にゆかりのある方への取材記事、関連ニュースなどを発信してきました。

 

こちらは一例です。

 

▼過去最も話題を呼んだ、長万部における選挙権の18歳引き下げのインパクトがすごいという記事。個人的に私がデジタルマーケティングの支援をしているNPO法人YouthCreateの原田代表にインタビューをして作成。公開わずか数日で、はてブのホットエントリ入りのほか、2500近くのいいね!、5万PVを獲得。北海道のテレビ局から特集を組みたいと連絡が入ったり、NEWS ZEROにこの話題が取り上げられました。

 

▼「セクシーすぎるまんべくんのコスプレ」で話題となったかぐねさんへのインタビュー記事。この取材のために弾丸で名古屋まで行き、コスプレ撮影スタジオを借りて取材を行いました。

 

▼インスタグラムをきっかけに接点をもてた長万部出身でアメリカ在住者の藤井さんにネットで取材。長万部の給食は本当に美味しいです。

 

▼リマンベをスタートした当初から、これまで町民にとってベールに包まれていた理科大について取り上げる必要があると思い、Twitterで面白い投稿をしていた基礎工出身の高橋さんに取材しました。これを機に、メンバーとして一緒に活動してくれる理科大生との継続的なつながりができた記事でもありました。新一年生によく検索から読まれています。


▼出身者へのインタビュー記事のなかでもとくに話題を呼んだのがこちら。かっこいいメッセージをいただきました。

 

こういったコンテンツをウェブサイトであったり、FacebookTwitter、インスタグラムなどのソーシャルメディアに投稿していき、長万部のことに興味を持ってもらうことはもちろん、単純に記事を楽しんでいただいています。

 

ローカルメディアを運営してきて感じたこと

リマンベを立ち上げたのは2013年5月。かれこれ4年近く運営していることになります。

リリース時はわたし1人だったのが、おかげさまで現在では一緒に取り組んでくれるメンバーも増え、同郷の友人や東京理科大学の学生さんら10名ほどに拡大しました。

また、リマンベの活動を北海道新聞さんや北海道ファンマガジンさんなどのメディア、オルタナSといったソーシャル系のメディアさんにもご紹介いただくこともありました。(長万部町役場のウェブサイトにリンクを掲載いただいたときは嬉しかったですね)

長万部町役場 - リンク集

 

 

そんなローカルメディアの運営を通じて思ってきたことがあります。

それは、ローカルメディアは人口が1万人にも満たない「小規模市町村」においては、地域活性の大きなテコ作用を働かせる手段ではないか、ということです。

 

ネット時代の地域活性について考えながら運営経験でわかったことや、私なりの考えを書いてみたいと思います。

 

コスプレイヤーのかぐねさんが長万部に来町されたときの写真 。この日のためにまんべくんのコスプレ衣装を新調してくださいました。

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小規模市町村の活性化は「人」がすべて。

ビジネスにでも何にでも通じることですが、産業振興などの町おこしをする人がいなければ、衰退の一途。とくに人口が1万人に満たない小規模市町村には、その問題がクリティカルに存在します。

 

このような小規模市町村においては、在住者からだけでなく、もっと上手に外部の人からも力を借りられること、外部からエネルギーが得られることが大切です。

 

では、どのように外部の力を増やしていったらよいか。私は「出身者」に焦点をあてるとよいのではと思っています。 

 

以前に私がハフィントンポストに寄稿した記事でも触れましたが、

(いま改めて見ると、なかなか攻めたタイトルですね笑)

 

・議員、自営業、一次産業などの地域の要職の子どもが多い。(地域の運営を大きく左右する意思決定権に接触できる)

・地方の産業特性的に、地元にはない仕事の従事者も多いと思われるため、町にとって新しいスキルを還元することができる

 

といった傾向があるためです。地域がもつソーシャルキャピタルのなかでも潜在的に大きな力をもっている「出身者」にフォーカスするとよいのではと思うのです。

 

 

そして、地域活性に熱をもつ人たちを増やしていくためにまず行うことは、

物理的にも感情的にも町から離れていった「出身者」とのつながりを取り戻す

こと。

 

 

これは長万部のローカルメディア「リマンベ」の名前の由来や、

長万部をもう一度(Re)元気に、出身者からのメッセージ(Re:)を。

 

リマンベの運営コンセプトとしても文章化して、日々意識をしており、

従来のローカルメディアの枠にとらわれず、インターネット時代の新しい地域活性のあり方を考え、実践しています。コンテンツでつながれる時代だからこそ、物理的にも心理的にも離れていった人と人とのつながりを取り戻すべく、日々コンテンツを発信しています。

 

このつながりを取り戻していく方法として、小規模市町村には「ローカルメディア」が優れた手段だと感じています。

 

次の2つのポイントもあります。

 

▼私が小学生だったころの通学路

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1.スマートフォンソーシャルメディアの普及で、「つながれる土壌」が整っていること

スマートフォン端末とソーシャルメディアが急速に普及した現代では、ひとりひとりが情報を発信できるようになりました。また、facebookなどのソーシャルメディアでは、コンテンツを通じてアカウント同士がつながることができた、という点です。

リマンベでいえば、FacebookページやTwitterアカウントを「いいね!」「フォロー」してもらうことで、コンテンツを通じて継続的につながれる関係性をもてるようになったという面もあります。

 

▼部活ネタでしたり、公園などの懐かしい景色、馴染みのグルメなど、青春時代に深く胸に刻まれているコンテンツが多くシェアされたりする傾向にあります。

 

 

2.小規模市町村には、強力なつながりを生む「中学校」という最強の社会装置があること

前述のスマホxソーシャルメディアの普及がさらに威力を発揮する環境として、小規模市町村においては中学校が強力な「つながり」を生むポテンシャルを秘めています。

中学校のつながりの強さについては、さきほど紹介したハフィントンポストへの寄稿記事にも触れており、

各出身者らの力を集結させるため、つながりをつくるために大きな役割を果たすのが「中学校」です。

上下2学年との関係性、上下2学年を超える場合でも兄弟・親の関係などのネットワークを活用し、つながりを形成することが容易にできます。高校や大学などの教育機関よりも生徒間のつながりが多く、まさに地縁・血縁社会。

しかも、小規模市町村は大抵が公立なので、義務教育を修了するまではみんなが同じ中学校の出身になるということ。つまり、学年の横のつながりができるということ。学区的にも人口1万人に1つの中学校ほどです。中学校は最強の社会装置となります。

というように、この中学校が生むつながりをテコ(ネットワークのハブ)にして、出身者との接点をもっていけるのです。

さらに、こうした緊密した人間関係は、facebookなどのソーシャルメディアにおいては強力な情報配信メカニズムとなるため、ローカルメディアのコンテンツの拡散の土台となるため、ローカルメディアで築いていったつながりの数が、発信力を生み、発信力がさらなるつながりの機会を生む好循環をもたらすと思います。

 

 

今こそローカルメディアを積極的に活用すべきタイミングなのかもしれない

ということで、仕事や進学をきっかけに町から離れていった出身者が多い小規模市町村においては、ウェブのコンテンツを通じて全国(全世界に視野を広げてもいいですよね)の多くの出身者との再接点のポイントを獲得でき、そこから地元の地域活性への熱を生んで、一緒に汗をかいて取り組んでくれる人を増やしやすいのではと感じているのです。

また、私のような出身者でも、ネットがあれば場所の制約がなく、町から離れた出身者でも地域活性に関われます。リマンベをプラットフォームとして、もっとつなげていきたいです。

ほかにも、インターナルマーケティング的に長万部とすでに関係している人たちに「地域活性」に関するモチベーションを高めていただくような発信も可能であるため、テコ作用の高い施策なのです。

 

 

 

長万部ソウルフード「甘太郎のチャーハン」。Facebookページに投稿したときのエンゲージメント率がとても高いです。 たまにむしょうに食べたくなる味です。

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インターネットで地域活性のかたちは変わる

人口については、書籍『シティプロモーションでまちを変える』にあるように、移住促進をどんなに進めても、誰しも身体は一つしかないので、人口のゼロサムゲームとなります。一方で、町への想いの総量はゼロサムではありません。だから、いくらでも増やしていける可能性があります。

いまだからこそ、出身者とのつながりを取り戻していくことが、小規模市町村の地方再生のエンジンになるのではと思います。

 

また、ここからは妄想ですが、この情報の流れ(情報流通構造)の変化は、発展的には、小規模市町村の情報格差の解消に一役を買えて、地元の子供たちのキャリア形成や教育であったり、産業振興に貢献できる情報の流通ができる環境(情報接触環境)をつくっていけるのではと模索しているところです。

 

インターネット時代の地域活性とは…と思いを巡らせてみると、いろいろ面白いことが出来そうでワクワクします。今年もリマンベでたくさん仕掛けていきたいです。

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