ソーシャルグッドマーケティング

室谷良平。デジタルマーケター。ソーシャルベンチャーで働きながら、北海道長万部町のローカルメディア「リマンベ」代表・編集長として活動。インターネット、マーケティング、まちづくりがライフワークです。

《実は戦略PR?》クチコミ構造を学んだ原体験は、遊戯王カードの「サーチ法」

 『Winter Challenge 2013』photo by [Yugioh Planet]


いまの20代中盤から後半世代の方であれば皆さま夢中でプレイされていたであろう「遊戯王カード」で、レアカードが入ったパックを見分ける「サーチ法」なる技がありました。

 

毎晩のように遊戯王関連サイトをウォッチしていた小学5〜6年のころ、リンクを辿っていくうちにたまたまこの手法が紹介されたページを発見し、「これはなんてヤバい情報なんだ…!」と衝撃を受け、すぐに友達に共有した記憶があります。

当時は90年代後半で、ソーシャルメディアはおろか、ケータイもろくに普及していない時代。町内での小学生でインターネットを利用して遊戯王カード情報を集めていたのはおそらく自分くらいだったと思います。

 

そしてある日、コンビニでサーチ法をつかってパックを選んでいる面識がない町内の低学年の子を目にし、瞬く間に長万部町内に広まったのだなぁと思いました。

これがクチコミの威力を知った私の原体験です。

 

なぜサーチ法が広がったのか

いま思えば、クチコミが流通する環境と諸条件が揃っていたのだと思います。

 

1.共通記号をもつクラスターが存在していること

2.クラスター内部で日常的に情報の交換がされていること

3.伝搬したくなる優秀なネタであること

 

要は「クチコミが広がれる環境」と「クチコミしたくなるネタ」ですね。

 

 

1.共通記号をもつクラスターが存在していること

サッカー部ではサッカーの話題を取り上げやすく、秋葉原ではPCパーツの話題を取り上げやすいように、何らかの属性で括ることができるクラスターが存在していることが最低条件です。

遊戯王カード」という小学生ならば誰もが知っているものなら、会話の導線が太く、人に伝えやすいです。日常の生活のなかで会話に出しやすいかどうか、日常のコンテキストに載せやすいかどうかもキモになります。通奏低音的なものがあるか、みたいな感じでもあります。

 

2.クラスター内部で日常的に情報の交換がされていること

これについては、「交通」で説明したらよいでしょうか。道路があってもトラックが走っていなければ物流として機能しません。ネタを走らせるトラックが必要です。
例えばマンガ大好きグループがあっても(1の条件を満たしていても)、そのグループ全員が無口だった「このマンガ超よかったよ!」なんて会話が発生せず、良いマンガは広まりませんしね。クラスターやノードだけではなく、トラフィックがあることも重要です。

 

3.伝搬したくなる優秀なネタであること

これついては言わずもがなでしょう。ちなみに1は「伝搬しやすさ」であり環境について。道路は走れるのかどうかについて。

この3の「伝搬したくなる」は、ネタが載せられたトラックが自走できるかどうかみたいな感じかと。

 

とはいえ疑問点

一瞬ちょっと不思議に思うのが、遊戯王カードは「カードバトル」という性質をもつため、クチコミなんてせずに自分だけサーチ法を知っていた方がゲームとして有利な立場でいられ得をするのでは?という点です。

その理由としては、推測ですが、気軽に試せるネタですし(当時1パック150円)、試した結果実際にレアカードが当たるとなると期待値を大きく超える満足度が得られ、感情のバランスが崩れてしまうところに要因があるのかなと思われます。

自分ひとりでは喜びの感情を抱えきれず、その嬉しさを共有することで感情のバランスをとろうとし、結果としてクチコミが発生してしまうのかなと。

 

なお、町内のコンビニにて遊戯王カードの万引きが多発し、小学校から「校内でのカード遊び禁止」の通告がなされ、町内でのブームは終焉を迎えましたさ。